ネット記事を見ていたら、タイルの目地が揃っていないので職人が下手くそでやり直しをさせたなんてとんでもない記事を見かけます。しかもそれがあたかも正しい情報のように書かれているのですから、ネット情報は本当にダメですね。
ろくに家を建てていない建築ユーチューバーとか、私たちのように現場から現場へと飛びまわって知識を得て、少しでも良いものを造ろうとしているものにとっては、とても目触りです。
タイルは、焼き物ですから生地を乾燥・焼成させる工程で、大きなもので11～13％くらいは縮みます。
そして焼き上がった後、狙ったサイズに４辺を削って寸法を整えるレクティファイド加工をしているので、側面をよく見ると削った痕が薄っすらと確認できるのです。
カタログをよく見ると、商品により、推奨目地幅が決められています。それはそのタイル寸法のバラツキ精度に合わせたもので、その目地によりズレを修正していくものなのです。
焼きものは、焼くことでサイズがバラつくだけでなく、バナナのように反ってしまうこともありますし、厚みもそれぞれ違ってきます。
四方がタイルになる十文字の目地の部分を見れば、綺麗に揃うなんてことはまず見つからないのが普通なのです。
この画像のように炎天下でかがみ、墨を打ち、１枚１枚丁寧に張っている仕事を見て下さい。誰も悪いものをつくろうなんて気はありません。
少しでも良いものをつくろうと、知識と経験を活かしてベストな方法を選択しているはずです。
どんなものにでも人の心が宿ります。少しは敬意を持って家を見て下さると、感じ方も異なり、愛着もわくことと思います。
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