アトリエ建築家が「敷地調査」に訪れる前に、準備しなければいけないことがいくつかあります。
設計は、まずその土地を知ることから始まるわけです。
朝、昼、晩、晴れ、雨、風…
と、実は私たちは、しつこいくらい何度も敷地調査へと足を運んでいます。
いくつものチェックポイントがあり、それはお天気や季節に左右されますので、一度や二度足を運んだだけでは掴めないのです。
その際に、自分たちの感覚を信じるだけでなく、長年そこに住んでいるお隣さんに話しかけることが最も有効な手段となるわけで、私たちは建築が始まる頃にはすっかり顔見知りになっていることも多いですね。
「素敵な家ですね。風通しはどうですか?」
などと聞くと、たいていのご近所さんは、親切に風の方向などを教えてくださいます。
風には、主風方向と呼ばれる天候に関わらず常に一定の方向から吹く風方向があります。
単純に言えば、夏は南風、冬は北風などです。
しかしその立地条件によりますので、たとえば海岸沿いでは、海からの風と山からの風が一日の中で切り替わることもあります。
密集地では、自然の風とは異なり、いわゆるビル風のように、家と家の隙間を流れて起こる風もあります。
影を流れてくる風は、夏には涼しくてとても心地いいものですよね?
それぞれの土地には、固有の主風方向があり、季節や一日のなかで定期的に変化ししていくので、これをしっかりと掴んでアトリエ建築家に伝えることにより、最適な窓の配置が計算できていくわけです。
風の特徴を掴んでしまえば、ほんの小さな窓であっても、風のルートが確保できていくわけですね。
一方で主風方向を考えずに窓を作ってしまうと、冬の寒い風に悩まされることもあります。
また、明るいリビングばかりに気を取られ、夏は暑すぎてカーテンを開けられなくなってしまい、明るさを目指していたはずが、カーテンにより暗い部屋へと逆転してしまうなんてことも多々あるわけです。
自然は大きな法則に従って動いています。風をつかんだ設計は、日本古来の知恵を活かした手法であり、昔の地の大工さんはうまく家を作っています。
神社仏閣を訪れるとそんなことを思いますね。
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