リビングをイメージした場合、一般的によく希望されるのは、
居心地が良くて、家族が自然とそこに集まりやすい空間。
そこは、ある程度日が差して明るくて風が通り、物が雑然としないように片付けやすいことですね。
また、リビング階段等により、子どもの顔を見れることも人気です。
しかし、松阪市Ｏ様の場合は、子どもの顔を見れるということは、子どもからも自分たちが見えるということで、却下となりました。
つまり、日曜日にパジャマのままでダラダラ転んでたりしていると、子どもは朝が早いので友人を連れてきたりしたら、逆に恥ずかしい…。
リビング階段等の大きな目的は、学校から帰った子どもがそのまま２階に消えていかないで、必ず親と顔を合わせるとか、子どもが友達を連れてきた時にも、誰を連れてきたのかわかる。などですよね。
このことはよく考えれば単純に躾の問題でもあります。
玄関付近に階段があったとしても、リビングに「ただいま」と顔を出せば済むことですし、友人も「お邪魔します」と挨拶をすれば済むだけの話です。
そう割り切ってしまえば、必ずしもリビング階段等にする意味もありません。
挨拶をしなかったとしたら、それは子どもが悪いというよりも、そう躾てしまった親の責任ではないでしょうか？
ただし、Ｏ様邸には玄関からリビングへの目線は切れていますが、リビングドアが存在しませんので、微妙に気配は感じるというスパイスは効かせています。
このあたりの曖昧さは、さすが建築家の妙といったところです。
このあたりも高気密・高断熱の高性能があってこその成せる技ですね。
一般的な住宅では玄関付近は冷えますので、そこは必ず縁を切りたいポイントとなりますので、従来の設計そのものの基本が崩れていくわけです。
本日ご相談させていただきました津市戸木町で建築予定のＫ様は、そもそも玄関そのものは必要ないとかで、簡単な靴脱ぎ場となりそうですが、これも同じように高性能住宅でないと許されない設計となるわけです。
家に自分たちの暮らしを合せるのではなくて、自分たちの暮らしに家を合せる設計力が必要です。
猫は、あたたかい場所を知っている。
犬は、すずしい場所を探す。
これって動物の本能のひとつかな。
でも人間は、家に守られて生きてきたから
本能はだいぶ薄れているんだろうな。
それじゃ、生活の場所くらいは
人の知恵で、安心できるものを作りたい。
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