建築を知る者は３６ｃｍという幅を常に意識しています。これは日本の文化であり、生活には欠かせない基準なのです。
最近は料理屋さんでしか見ることもありませんが、大きなお盆の幅はこの３６ｃｍ。実は標準的な日本人の腰幅に合わせてあるのです。
旅館の仲居さんが沢山の食器を何度も運ぶのに腰幅よりも広いと腕をぶつけてひっくり返したりしますし、その前に身体に負担がかかってしまいます。
その３６ｃｍのお盆を両手で持つとちょうど肩幅の４５ｃｍくらになります。日本建築の畳の幅が９１ｃｍという目安で成り立っているのもこの計算からでしょう。
ちょうど二人がお盆を持ってすれ違える４５ｃｍ×２ですね。
電車とかの７人掛けシートは３６ｃｍ幅でつくられています。これも標準的な腰幅からの計算ですね。（私はお尻が大きいから…という人がいると７人座れません）
それと比較し新幹線の座席はもう少し広いです。これは長距離移動に使う電車という特性からでしょう。
普通席は４４ｃｍ、ただし３人掛けの真ん中は両肩がぶつからないように４６ｃｍとされています。気づいていた人はどれだけいるでしょう？？
もちろんグリーン車はもう少し広く、５０ｃｍも取っていますね。
このたとえでわかりやすいのですが、たった数センチの違いで暮らしやすくも、暮らしにくくもなってしまうのが建築です。
わざと回転率を上げるために長時間の居心地を悪くした飲食店、逆に高齢者を狙いゆっくりとしてもらうためにソファ席を用意したコメダ珈琲などの飲食店。私たちプロは様々な点で工夫をしているのです。
※参考文献：眠れなくほど面白い建築の話（スタジオワーク）
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